絵本で楽しむ子育て

~「ことば×体験」で、子どもたちの心に「ことばのたね」を育てよう~                          by michi

言葉に合わせて、乗り物遊びを楽しんじゃおう!(乗り物絵本3冊)

 ことばと体験をつなぐヒントとして、今日紹介する絵本は、この3冊!

「ぽぽぽぽぽ」

五味太郎 作  偕成社

 『ぽぽぽぽぽ』『こここここ』『すすすすす』汽車の通っている場所や汽車の様子に合わせて、言葉が変わっていく。五味太郎さんの言葉(文字)選びがとても面白い絵本です。おうちにレールと電車のおもちゃがあれば、同じように動きに合わせて言葉を楽しむことができますね。絵本と同じ言葉でもよいし、動きのイメージに合わせて、親子で生み出した言葉でもよいと思います。動きと言葉の重なりを楽しんでみてください。もし、外出先で、走っている汽車を指さして、お子さんが「ぽぽぽぽぽ」などと声を出したら、それは、「ことばのたね(体験とつながった生きた言葉)」の一つが根付き、表現する術を手に入れたということですよ。そんな「ことばのたね」、どんどん増やしてあげたいですね。

 

「がたんごとんがたんごとん」

安西水丸 作  福音館

 『がたん ごとん がたん ごとん』『のせてくださーい』と繰り返される言葉と共に、汽車に次々と乗り込んでくるいろいろなもの。そのいろいろなものとは、動物だけでなく、哺乳瓶やスプーン、バナナなど、幼子の身の周りにあるよく目にするものたち。幼子にとっては、毎日を共に過ごす大切な仲間のようなものたちです。だれも乗っていない汽車が、ページをめくるごとに賑やかになっていく様子は、見ていてとても楽しいです。

 おうちに、汽車や電車のおもちゃがあれば、それを使って「『がたん ごとん がたん ごとん』『のせてくださーい』ごっこ」はいかが?

 汽車役は、『がたん ごとん がたん ごとん』と言って汽車を走らせる。客役は、いろんなものを持ってきて『のせてくださーい』と言う。次第に子どもがいろんなものを持ってくるようになったら、少し大きな空き箱を何個か紐でつなげて、即席の汽車を作るのもおすすめです。100均の黒いガムテープを箱の表面に貼れば、かなり格好いい汽車ができますよ。でも、シンプルに箱をつなげただけでも、十分に楽しめます!言葉のやりとりと動きのコラボを是非楽しんでみてください。

 

「のせてのせて」

松谷みよ子 作  東光寺 啓 絵  童心社

 今度は自動車です。まこちゃんの赤いすてきな自動車に、いろんな動物たちが手をあげて『のせてのせて』って声をかけてきます。乗せてあげたら『びゅーん』と走って行く。この『のせてのせて』『びゅーん』も、言葉と体験をつなげて遊びやすいです。『びゅーん』はとても速くて勢いのあるイメージですよね。決して、かたつむりのような速さではありません。遊びの中で、そのようなイメージも、無意識に体得していくことでしょう。

 口に出した言葉に合わせて、目の前で、その言葉に関連した出来事が繰り広げられていくことで、「この言葉はこんなふうに使うんだなあ」「こういうイメージなんだなあ」と自然に感じられ、子どもたちの心の中に「ことばのたね(体験とつながった生きたことば)」が育まれていきます。

 また、この絵本の中の場面『トンネル トンネル トンネル トンネル まっくら まっくら まっくら まっくら』『でた!おひさまだ!』の言葉は、是非、実際のお出かけ場面でつなげてほしい言葉です。長い暗闇が続いた後の光のまぶしさ。そして、出会う景色の美しさ。心がぐっと動くことでしょう。遊びの中で、言葉と体験をつなげて獲得した「ことばのたね」を、現実の様々な体験場面(子どもの心が動く場面がよいです)と何度もつなげていくことで、「ことばのたね」にその子なりの記憶がしみこみ、絵本を読んだ時、その言葉から想像が広がっていくようになります。

 是非、お子さんと乗り物おもちゃで遊びながら「ことばのたね」を育んでくださいね。

※「ことばのたねって何?」「ことばと体験をつなぐと何かいいことがあるの?」そう思われた方は、是非、本ブログ記事4/24~4/27も読んでいただけるとうれしいです。