絵本で楽しむ子育て

~「ことば×体験」で、子どもたちの心に「ことばのたね」を育てよう~                          by michi

「ことばのたね(体験とつながった生きたことば)」がもたらすもの

 言葉と体験をつなぐ日々の中で、心の中に「ことばのたね」が多く育くまれていくと、新しい絵本を読んだとき、自分のもっている「ことばのたね」から想像が広がっていきます。「ことばのたね」が育まれているほど、新しい絵本の中で、共有できる言葉や体験に出会う場も増えてきます。そして、言葉と自分の体験をつなぎ合わせながら、登場人物の気持ちやその舞台を豊かに想像できるようになっていきます。

 小学校の国語の授業でも、同じようなことが起こります。物語や説明文などで、一つの言葉に出会ったとき、その言葉に多くの体験がつながり、想像が膨らんでいくほど、深い理解につながっていきます。

 「小学校の国語の授業って何を話し合っているの?」そんな疑問をもっているおうちの方も多いと思います。何となく、「ただ、登場人物の気持ちをあれこれ話し合っているのかなあ」「説明文は何が書いてあるか読み取っているのかなあ」くらいに思っているかもしれませんね。

 実は、小学校の国語の授業では、物語や説明文などを通して、子どもたちの言葉の力を育んでいます。言葉の力とは、「言葉を基に考え、理解する力」や「言葉を適切に使い、自分の考えを表現したり相手を理解したりする力」です。

 例えば、物語の授業でいえば、「ここにこんな言葉が書いてあるから、この登場人物は、こんな気持ちなんじゃないのかな」「この言葉は、こういう気持ちのときにわたしは使うから、こんな気持ちも入っているんじゃないかな」というように。説明文の授業でいえば、「この言葉から、こんな動きをしているんだと思います」「この言葉は、もっと勢いが強いときに使うから、こんな動きなんじゃないのかな」というように。

 一クラス30人ほどいれば、それぞれに「ことばのたね」をもっています。ただ、想像だけで話し合っているのではなく、言葉を基にした自分のこれまでの知識や体験(つまり、「ことばのたね」を通してということです)を出し合い、それらを重ね合いながら物語や説明文の内容を読んでいるのです。話し合いを終えると、「この言葉は登場人物のそういう気持ちを表していたんだな」「こういう様子を表すときに、こんな表現が使えるんだ」などと分かる。つまり、違う「ことばのたね」をもった子どもたち同士で物語や説明文を読み合うことを通して、言葉の力を育んでいるのです。

 

 「ことばのたね」を育むのは、きっといつからでも可能です。でも、それは、きっとすぐには育ちません。日々の生活の中で、長い時間をかけてじわじわと育まれていくもののように感じます。だからこそ、親子で一緒に過ごす時間の長い幼い時代に、「ことばのたね」を育んでいく意識をもつことは、とても大切なことのように思います。絵本の中には、子どもたちの日常があふれ、言葉と体験をつなぐヒントが散りばめられています。絵本を活用しながら、子どもたちの思考の源となる「ことばのたね」を育んでみませんか?

※「ことばのたねって何?」と思ったら、是非、ブログ記事4/24~26も読んでもらえたらうれしいです。