情報過多の時代、AIの進歩。そして、環境や貧困など世界中を取り巻く多くの問題。今の子どもたちを取り巻く世界は、これまでとは全く違うものになってきていることは、だれもが認めることでしょう。その世界で、子どもたちが生き抜いていくためには、「正しい答えを言うこと」「言われたことを言われたように正しく行うこと」ではなく、「答えのない問いについて考え、仲間と協働して解決していくこと」が必要だと感じます。つまり、
- 知識や経験をもとに、考える「思考力」
- 自分の考えを相手に正しく伝えたり、相手の考えを正しく聴き取ったりする「表現・コミュニケーション力」
- 問いをもち、問いを解決していこうとする「意欲」
がこれまで以上に大切になってきているのです。
では、「思考・表現力」は、どのようにすれば育むことができるのでしょう。私がいつも思っていること、それは、
「人は自分の言葉を通して考える」
ということです。感情を伝えるときも、自分のもっている言葉に置き換えて伝えますよね。例えば「びっくりした」という気持ちを表したいとき、「心臓がどきっとした」「心臓が飛び出た」「思わず声をあげた」「目を見開いた」「あわてふためいた」「パニックになった」など、いろんな表現ができます。でも、よく考えると、ここに書いた表現は、少しずつ状況も「びっくり」の強さも違います。より、自分の感情にぴったりな「ことば」をもっているほど、自分の感情の微妙な変化にも気付くことができます。それはそのまま、「より深く考える力」「自分の考えを正しく相手に伝える力」「相手の考えを正しく聞き取る力」になっていきます。そう考えると、思考は、自分のもっている言葉以上にはいかないのかもしれません。
「自分のもっていることば」と「思考力」はつながっている
そう感じるのです。